リオ五輪柔道男子日本代表が全階級でのメダル獲得という快挙を成し遂げました。
内訳は金メダル2個、銀メダル1個、銅メダル4個、銀メダル銅メダルの選手の悔しそうな表情も印象的でしたが、全ての階級でメダルを獲得するのはオリンピックで初めての快挙。胸を張って日本に帰ってきてほしいと思います。
ちなみに細かい内訳は以下の通り
階級 | 選手 | メダル |
60㎏級 | 高藤 直寿 | 銅メダル |
66㎏級 | 海老沼 匡 | 銅メダル |
73kg級 | 大野 将平 | 金メダル |
81㎏級 | 長瀬 貴規 | 銅メダル |
90㎏級 | ベイカー茉秋 | 金メダル |
100㎏級 | 羽賀 龍之介 | 銅メダル |
100㎏超級 | 原沢 久喜 | 銀メダル |
柔道の各階級の出場選手は一人だけ、その中で全階級でメダルを獲得したのですから胸を張って帰ってこれる結果だと思います。
柔道日本代表監督 井上康生の改革
井上康生選手は、そのルックスと実力から現役時代から人気選手として知られていました。2000年のアテネオリンピックでは100㎏級で金メダルを獲得、人気実績とも十分な日本を代表する柔道家です。
前回のロンドンオリンピックでは男子重量級のコーチとして男子金メダル0という屈辱に終わってしまった日本男子柔道。
井上康生はその後リオオリンピックに向けた柔道日本代表監督に就任します。
「名選手名監督にあらず」という言葉があるように名選手が監督になったからと言ってチームが劇的に変わるわけではありません。
井上康生監督は自身の経験から男子柔道の強化方針に改革をもたらし今回の快挙を成し遂げました。
肉体改造、栄養学の考え方を重視
日本柔道の練習方針はこれまでは練習量に頼る根性論的な練習方針が主体でした。そのため、選手の疲弊がロンドンオリンピックの結果につながったといわれています。
井上康生監督は自身の海外留学の経験から、肉体改造、筋力トレーニングの方法を科学的に取り入れること、また体づくり、コンディション調整の重要性から栄養学を重視した強化方針を打ち出します。
出場する試合についても各個人の成績に合わせ出場試合を均等に制限し、疲労を蓄積させずに実力の向上を図るというこれまでの男子柔道にない方針を打ち出したのです。
監督として人を引き付けるリーダーシップ
また井上康生監督のもう一つの改革は、選手一人一人に向き合うという指導方針でした。60kg級で銅メダルを獲得した高藤選手が世界選手権で泥酔癖、遅刻癖を露呈した際には、自分の監督責任だとし、自ら丸坊主にするという毅然とした態度を示しました。
それに感銘を受けた高藤選手は改心し、今回のリオ五輪で見事銅メダルを獲得します。本人には悔しい銅メダルかもしれませんが、一度は不祥事でB代表に降格させられた選手。その選手がオリンピックで銅メダルを獲得できたのも井上康生監督の強いリーダーシップにあるのだと思います。
リーダーが変わればチームが変わる
このリオ五輪の男子柔道を見ていて感じたことはリーダーが変わればチームが変わるという事です。もちろん単にリーダーが変わるだけではチームは変わりません。
井上康生監督は就任の際に「覚悟のない人間は今すぐ辞退してほしい」ときつい言葉で選手に迫ります。井上康生監督の中にはその時から変革に対する強い思いがあったんだと思います。
覚悟を決めたリーダーほど強いリーダーシップを発揮できるリーダーということが出来ると思います。
これまでの柔道界の慣例を変えることは、いくら監督と言えども簡単なことではなかったと思います。人間にはどこか変わりたくないというブレーキがかかってしまうものです。
それでも日本の柔道を世界のJUDOに通用させるように井上監督は強い覚悟で改革を行いました。
その結果が全階級でのメダル獲得につながったんだと思います。
しかし、リーダーは結果がすべてといっても過言でもありません。もし今回のオリンピックの結果が悪ければ改革は失敗だったとして本人のキャリアに傷がついてしまう恐れもありました。
さらに言うと、井上康生監督の奥さんはデスブログで有名な東原亜希さんです。もし今回の結果がついてこなければまたデスブログのせいだと言われてしまう可能性もありました。
そんな中勇気をもって改革を成し遂げた井上康生監督。
その覚悟には、尊敬の念を抱くほかありません。
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